ゆうきともからのお知らせ 2

主に monthly Magic Lesson に対するお知らせや、ゆうきともの個人的な見解等を不定期に書き込むblogです!

2009年02月

といえば、マジックワールドでは石田さんのことですが、昨日はツナミさんを見に行ってまいりました。

天海ツナミ… 元宝塚の女優? 違います。

もちろんボブ・ファーマーのトリックの話でもありません。

と、いうボケも通じるのは10人もいないと見た。(^_^.)

トイザードでお世話になっている岩城さんからの招待で行ってきましたよ。

後楽園ホール! 久し振りです。

女子プロボクシングのWBA世界スーパーフライ級 (52キロくらいです) のタイトルマッチがありまして、天海ツナミ選手が見事にチャンピオンになりました。

おめでとうございます。

一試合だけ男子の試合もあったのですが、今年37歳を迎え、引退試合に臨んだ選手のノックアウト負けのシーンなど…  (/_;) いやあ、本当にドラマがいっぱいでした。

久しぶりのボクシング観戦でしたが、ライブで見ないと伝わってこないことや、わからないことってホント多いですよね。

ただ、ライブでもこちらの見方が悪かったり、興業する側が提示の仕方を間違えると、楽しみは簡単に半減してしまいます。

今回は本当に良い席を用意していただいて、ものすごくありがたかったのですが、箱のサイズや席、値段などを考えるたびに、公演や興業の難しさを痛感します。

※後楽園ホールは基本的にどの席も見やすいですけどね。

また、ボクシングに関して言えば、階級の細かさや、ルールというか、何をもって有利であるのかの分かりにくさがあり、もうちょっとなんとかならんかな〜と。

頑張っている選手を直に見ると、ついつい考えてしまいます。


ちなみに3月7日は、あの内藤大助選手と同期で、34歳、45戦33勝という戦歴を持つスーパーバンダム級 (55キロくらい) の選手、福島学さんの応援に行ってきます。

本当は無理やりマジックの話題につなげるつもりでしたが… もういいか。

タイトルは泡坂さんのエッセイからいただいてます。

念のためにいっておきますと、本当は『泡』という文字、違うんですよね。厚川さんすみません。m(__)m 

こういった説明は今まであまりしてこなかったのですが、最近はマジックワールド近辺の皆様とのギャップを、本当に感じますので念のため。

つい先ほど 『ぶっつかる』 体験をしましたので、以降は私のメモ代わりです。

2006年に刊行した 『アッというまにマジシャンになれる本』 のなかに、即席で出来るかなり不思議な透視術 (カードマジックです) を解説いたしました。

演出の違う2作品が収録されており、続けて演じることもできますし (実はそこを意識して構成したものです)、実際にやってみるとわかりますが、観客からはかなり不思議に見えるトリックです。

また、私自身は場合によって違う手法を使う場合があり、同じ年のクリスマス限定で、そのやり方をブログに公開しました。

そもそも最初のトリックに使用されている原理は古く、それを準備なしにできるよう、全体を構成したところが私の工夫でした。

2つ目に関しては、手法自体も私の工夫でしたが、後にマルローも発表していることがわかりました。(^_^.)

ブログ上で公開したものは、手法の部分も私の工夫したもので、実は結構自信作だったのですが、かなりシンプルなアイデアなので 「まあ、たぶんあるんだろうなあ〜」 そう思ってはいたのです。

で、先ほど鑑賞していたDVDのなかで、同じシチュエーションで見事な現象が起こり… 「おっ、これはもしかすると…」 そう思っていたら… やっぱり正解でした。

ヘンリー・クライストの 『ビハインド・ザ・バック・フォース』 と、レクチャラーの方が言っておりました (言葉だけでさらりといっており、キャプションはなかったので “たぶん” ですが)。

あとは出典がはっきりすると、もっとすっきりします。

ご存知の方はお知らせください。(^_^;)

いずれにしても良いトリックなので、そのうちmMLでも取り上げてみようかと思う次第。

結果的にバランスはとれていたのかなと。

『K−20』 先ほど見てきました。

見事です。

もちろん突っ込もうと思えばいくらでも突っ込めるわけですが… あれだけの大作 (商業映画) を、あーいった形で実現してくれただけで感謝です。

ネットで監督のことを調べていたら、上映時間が2時間17分もあったということを知って驚きました。

劇場で何を見たらいいかお悩みの方がいれば是非!

ところで佐藤監督 (ほんと最近佐藤さんが多い…) が女性であり、5つ先輩で、かつ同郷であることを知って2度びっくり! 『ゆれる』 の西川監督といい、すごいなあ。

ちなみにホラー好きであれば、新しい 『13日の金曜日』 は悪くないです。007のように、前作を復習する必要はありません。(^_^.)

ホラーついでにもうひとつ、先日コンビニで見つけ、1000円くらいであったので、つい買ってしまったDVD 『ショーン・オブ・ザ・デッド』 は傑作です。コメディ好きの方にもおすすめ。

先日スキマのことを話題にした際に “ここが弱くなってしまう方が多いですよね” といった書き方をしました。

私がマジックについて考える場合、そのトリックがどれほどマニアックなテーマであったとしても、一般の観客が見たときに、その現象を違和感なく (無駄な動きやセリフなどにストレスを感じず) 理解し、不思議を感じ、それなりに楽しめるのか?

そうでない場合、どうしたらその問題を解消できるのか?

実践で生かすためにはどうしたらいいのか?

常にそういったことを前提にするようにしています。

同レベルの仲間内だけにしか通用しない、楽屋落ち的ギャグや、それに属するトリックも決して嫌いではありませんが、そういったものは間違いなく例外といっていいはず。
※さらにいえば、私の場合、あきらかにそういったテーマの作品さえ、「一般客に見せるためには?」 といった考えが頭をよぎります。

技法に関してよく見聞するのは 「マジシャンがみたらわかってしまうので」 といった言い方であり、大抵はそのあとに 「それでこのようにしてみました」 と続きます。
無論、本当に改良されていれば、そのきっかけがどういったものであろうと一向に構わないのですが、私の経験上、そういった目的で考え出されたものに、それほど優れたものはなかったような気がします。

かえって一般客にはおかしな動作に見えてしまったり、さらには (まっとうな) 奇術家が見てもかえって怪しかったり。
相手がどんなタイプの観客であっても、「よくはわからないけどなんかやってるよね?」 そういわれたらマジックとしてはかなりまずいのです。

厳しい言い方をすると、「マジシャンには…」 などといっている人の多くは、一般の観客から見ても、決して自然なもの (動きやしゃべり) に見えているわけではない場合が多いものです。

その場の観客のタイプに合わせて、臨機応変にやり方を変えるなど、世界でも一握りのマジシャンにしかできることではありません。

これは気持ちの問題なのでしょうが、初心者であれ、ベテラン (のつもり) であれ、まずは “一般の観客を完全に騙すための技法やその使い方” を、そして “すべての動作やセリフまでを、トータルに構成した演技” を、考えるべきなのだと思います。

当たり前のことですが、技法や、原理といったものだけでは、決してマジックは成り立ちません。
上記のように構成され、実際に演技されてこそ “マジック” なのです。

経験上、そのような考え方を推し進め、ある程度演技としても成立すると、一般客だけではなく、レベルの高いマジシャンでも楽しめたり (引っかかったり) するものです。

手元のアップのみで成立する、動画のようなトリックも確かに存在するでしょう。

そういったトリック自体の魅力も、十分に認めた上での結論ですが (キライじゃあないんです。もちろん上質のものにかぎりますけど)、それはあくまでも “トリック” にしかすぎず、“マジック” ではないと思います。

ライブでのマジックを表現し、楽しみたいという方は、ぜひ御一考を。 

日本のクロースアップマジシャンということらしい。

『魔術師教偽詐! 人生騙術大析解』 という本の著者の肩書なのであります。

※本当は「偽」の旁は「称」という字の旁であったり、「析」の字も線が一本多かったりします。 あーめんどくさい!(^_^;)

2006年に新潮社新書から刊行された拙著 『人はなぜ簡単に騙されるのか』 の台湾版でした。

昨年韓国語版が出版されて、そのさいに見本もいただいたのですが、なんせハングル語なので、まったくもって理解不能です。
説明されなかったら、たぶん自分の本であることさえ気がつかなかったことでしょう。

韓国語版のときは、そういったお話があったあと、忘れた頃にできあがったものが突然送られてきて、
「ああ、ホントにでたのねえ〜 …ってゆーか、これってあの本なの?」 
といった感じでしたが、今回はわざわざ表紙の見本が送られてきて、確認してほしいとのこと。

お国柄なのか、出版社の方針なのか、ぜんぜん違う対応にびっくり。

まあ、正直なところ、確認のしようもないのですが、漢字なので雰囲気はな〜んとなく分かります。

韓国語版は日本でいう新書版ではなく、表紙のデザインをみてもなんの本かよく分からなかったのですが (まあ、新潮社もそうです)、台湾版は日本の新書とほぼ同じサイズで、シルクハットに黒電話という、なんともレトロで怪しげな70年代っぽい感じのデザイン。

個人的には結構気に入りました。

おそらく3月末には (予測です!) 書店に並ぶのでは? 台湾に出かける方はお土産にぜひ! (^_^;)


ちなみに先月メディアファクトリーから刊行された 『だましの技術!』 ですが、数えるほどの人から (^_^.) お褒めの言葉を頂戴いたしました。

ブログではボナ植木さんや、ゆみさんにも取り上げていただいたようです。

ありがとうごさいました。

ちなみにこのシリーズ、「ナレッジエンタ読本」 は、3月いっぱいでカバーデザインをマイナーチェンジするようです。
実際に手に取った方はわかるかと思いますが、実はちょっと凝ったものになっておりまして、4月以降は、よりシンプルなカバーになるそうです。

一見すると同じように見えますので、何かに使えそうな気がしないでもありません。

広いおうちに住まわれている方や、懐の温かい方はぜひ2冊目をどうぞ。

昨日、駒込の会に佐藤喜義さんがみえたので、久しぶりにお話をしました。

本当はタウンゼント・カウントについて、いくつかのトリックサンプルを見せる予定でしたが、気がつくとその時間はなくなっておりました。(^_^.)

そんな中で、佐藤総さんの 『カードマジック・デザインズ』 の話題もあったのですが、その場にmMLスタッフの佐藤君もいて、まあ… 3人の佐藤が入り乱れて、ややこしいこと、ややこしいこと。(^_^;)

で、それはさておき… その昔、佐藤(喜義)さんが、マジックを二川先生に習いに通っているときに、

「先生、カードマジックなんて、これだけ研究しつくされていたら、俺らが考えることはもうないんじゃないですかね?」

と質問したら、先生は楽しそうに例の口調でこういったそうです。

「いやあ〜、まだまだ… いくらでも隙間があるんですよ!」

そう、正に「スキマ」なのです。本物のオリジナル (それまでに存在していない) といえるような、斬新な作品が生まれる可能性は、ほとんどありえないといってもいいのかもしれませんが、「マジックという表現手段における隙間」 であれば、そりゃあ、もう、驚くほどそこらへんにころがって(?)いるのです。

佐藤(総)さんの作品だって、要はその隙間 (良いスキマを見つけること自体もセンスです) を驚くほど緻密に埋めてゆく過程と、その成果こそが評価されるべきであって、基本となるアイデア自体が取り立てて新しいわけではありません。

厚川さんやポール・ハリスといったレベルになると、さすがにその発想やアイデア自体にも感心してしまいますが、そういった巨人の方々を本当にすごいと感じるのは、そういった部分にだけ留まっているわけでは(決して)ないことです。

ここ一週間ほどかけて、ハリスの新しい映像 (そのほとんどが彼自身の演技ではありませんが…) を8割くらい鑑賞しましたが、初めてみる作品の他に、『ラスベガス・リーパー』『カラー・スタナー』、単品で発売もされた 『バニシング・デック』『スクリュード・デック』 といった、彼の代表作と言ってもいい、懐かしの作品たちが、新たなキッカーを加えたり、贅肉をそぎ落としたり、演出自体を変えることなどにより、さらにシンプルでパワフルな形に改良されている様を見せつけられ、あらためて彼のすごさを認識しました。

会のあと飲みの席でも話したのですが、“奇術家であれば誰でも知っているはずの原理やトリック” で、普通の観客はもちろんのこと (といいながらも、ここが弱くなってしまう方が多いですよね(^_^;))、優れたマジシャンを (いろいろと良い意味で) うならせるというのは、本当に楽しいものです。

表現者たるマジシャンにとって、芸はもちろんですが、トリック自体の完成度も、一生をかけて高めていくものなのです。

mMLが44号です。

4周年目、48号でお迎えする特別ゲストもほぼ決定いたしましたので、(^^♪ 来月にはお知らせできるかと思います。

ところでmMLの収録自体は、現在2月ほど先行しているので、毎回編集作業のときは、結構新鮮であったりします。

それはともかく、昨日届いたDVDを見ていて思い出したのですが、実はこの収録のときは調子がすこぶる悪く… 映像を見ていると、かなりおしゃべりのスピードが速いです。m(__)m

『ボールド・エーセス』 のマスターパケットの示し方もかなり早い… あそこはもっとためなくてはいけません。(+_+)

ライブではなく、演技のときの方が若干落着きがあるので、視聴される方は、なるべくならそちらを参考にしてください。

内容は… かなり豪華です。

昨年末の忘年会で、大酒飲みのY嬢(©ボナ植木)が、バーノンっぽい (^_^;) 『オールバック』 を演じてくれたのですが、今回のmMLでは、アレックス・エルムズレイやブルース・サーボンの流れをくむ、かなり本格的な手順を紹介しております。
また、最近はポール・ハリスの新しいDVDが話題となっていますが、彼のトリックの中でも個人的に大好きで、私が長い間レパートリーにしているコイン・アセンブリー 『フリー・フライト』 も収録しています。

正直なところ 『ワイズワークス』 や 『カードミラクルズ』 といった、私個人の作品集に収録してもいいのでは? そう思う作品もちらほら… (^_^.)

で、映像教材とはいいながら、おまけのはずの小冊子の方もかなりしっかりとした感じになってきました。挿絵の代わりに映像の写真を取り込んでいるのが難なのですが (時間、人手、予算の問題です)、これって挿絵の部分をきちんとするだけで、かなり優秀なレクチャーノートになるのではないかと。

ちなみに冊子といえば 『奇術探究』 がなかなか進んでいないのですが、第4号は4月には間に合わせる予定ですので、こちらはしばしお待ちを。

その代わりというわけではありませんが、フォーサイト刊行の小冊子 『魔法修行』 の第4号が今月中に発売できそうです!

庄司さんの連載 『テーブルホッピングのすすめ』 や、佐藤喜義さんによる、タウンゼント・カウントを使用した作品 『黄昏バック・オフ』 など、今回も盛りだくさんの内容となっております。
私自身は、DVD 『ワイズワークス7』 に収録した 『ロイヤル・ナビ』 のアップグレードバージョンを解説しています(もったいないので、しばらくの間は映像にしないつもりです)。 お楽しみに。

昨夜のトイザード極小ライブは、おかげさまで満員でありました。

まあ、限定9名なんですけど。(^_^.)

先月のように急なキャンセルもなく、先月ほどの寒さではなかっただけでも助かったのですが、当日応援に来てくれた (大人の) 関係者が、一番後ろで3名ほど立って見てくれていたおかげで、人口密度の加減もちょうどよく、なかなか良い雰囲気ではなかったかと思います。

実際の現場を見ていただかないとわからないと思うのですが、非常にバランスの難しい部屋なのです。

…とはいっても、部屋のつくりの問題で寒いことは寒く、手や舌がなかなか暖まらずに、やたらカードを落としたり、セリフをかみまくっておりました。m(__)m

ちなみに厚川さんのトリックは 『エースの入れ替わり』 と 『逆説4A』(この4Aは以前、松田道弘氏がその発想に驚かされたと書かれておりますし、『ゆうきとものクロースアップマジック』 でもコラムの中でふれている作品です) を取り入れてみたのですが、後者はすでに私のハンドリングでレパートリーとなっていて、演技的にもほぼ問題はなかったのですが、前者はちょっと難しかったかなと。

手順自体をこなすことはできますし、観客の反応もそれなりにあるのですが、私のリズムというか、ライブ全体の流れには合わないのですね。

すでに同じテーマにおける、自分のパターンがいくつか出来上がっていることもあるのでしょう。

実は前日、あらためて読み返してみて、その構成の見事さにうなってしまったのです。

基本的にはデイリーの 『ラスト・トリック』 における構成と演出そのままなのですが、そのハンドリングと合理性、ミスディレクションの使い方が、実に厚川さんらしいのです。

是非一度、裏の仕事をせずに、観客から見えているであろう、表の動作だけをシュミレーションしてみてください。 その合理性に驚きますから。

少し難しい話になりますが、実際の演技においては、本来の動作や説明を 『はぶく』 ということも重要です。

ショーの流れの中では、あまりきっちりと説明しない方が良い場合もあります。

が、しかし、それはそのときに (そのレベルに達したときに) 考えることであり、99パーセントのカーディシャンは、デイリーや厚川さんらの考え方に大いに学ぶべきであろうと思います。

風変りで、奇妙なオリジナル作品ばかりが厚川昌男の特徴ではありません。

一見、本当にオーソドックスなコインやカード、そして演技の際に醸し出す雰囲気そのものにまで、オリジナルを感じさせる才人でした。

先月、駒込の会で打ち上げで、野島君からあるトリックについて質問されました。

「たぶん、ゆうきさんに教えてもらったような気がするのですが…」

そのときはまったく思いだせず、

「ぜんぜん記憶がないけど、よくできてるねえ… 僕が教えたの?」

「いや、まあ、そういわれると自信がないんですけど…」

などと、言った会話があったのですが、さきほど7日のライブのネタをチェックしている際に

「そうだ厚川先生の作品を何点か演じてみよう!」

と思い立ち、すでに自分のハンドリングになってしまって、忘れているオリジナル部分の確認のため、『カードの島』(マジックランド刊)を調べていました。

そしたら…

なんとそのトリックがありましたよ。(^_^.)

36ページの 『整理好き』 なのでありました。

そういえば以前 『奇術研究』 かなにかで読んだ記憶もちらほら… 上記の本は2001年刊行ですし(一昨年、東京堂出版からでた本にも収録されているはず)、野島君に見せたことがあったとしてもおかしくはありません。

たまたまこのようなタイミングでのライブ予定がなければ、おそらく、しばらくの間は気がつかなかったことでしょう。

私は本を通して高木先生から多くのマジックを学びましたが、氏は残念なことに早く他界され、実際にお会いする機会はほんの数えるほどしかありませんでした。また、それはまだ私が高校生のときでした。
厚川先生のマジックも、その多くは本から学ばせてもらったのですが、私が東京に出てきてから、その世代の奇術家の方で (こちらを奇術家として認識してくれたうえで) そこそこお話をする機会があったのは、厚川さんだけであったかもしれません。

こういった些細な出来事が起こるたびに、氏がほろ酔い加減で、いつでもにこにこしながら奇術を演じてくれたことを思い出すのでしょう。

昨夜めずらしく酔っていないW氏からの電話に驚いたのですが、その内容にはもっと驚かされました。

我々マジシャンにとっては奇術家、厚川昌男として知られ、一般の方にとっては、直木賞作家であり、本格ミステリー作家として知られる泡坂妻夫さんの訃報でした。

たくさんの軽妙で洒落たエッセイを残されていますが、実際にお会いすると、そういった文章から垣間見られるお人柄そのままの、実に気持ちの良い方でした。

2004年に氏の名前の施された賞をいただけたことは、私にとって本当にうれしく、ラッキーなことでしたが、そのあとは残念ながらお会いする機会がありませんでした。

今年40を迎える今だからこそ、お聞きしたい事や、お話してみたいことがたくさんあっただけに、本当に残念です。

先日お亡くなりになられた、福田繁雄さんとほぼ同世代、75歳での永眠でした。

私たちファンは、わずかひと月の間に、それぞれのジャンルに巨大な足跡を残した、偉大なトリックメーカーを、立て続けに二人もなくしたことになります。

告別式は7日に池袋で行われるそうです。

心よりご冥福をお祈りいたします。


もう少し落ち着いたら、印象深いエピソードなどもご紹介していこうかと思います。

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